カージナルテトラが、頭を上にして立っていました。
いわゆる立ち泳ぎ、縦泳ぎと呼ばれる状態です。私は日本語のサイトも掲示板もYouTubeも、海外のフォーラムまで一晩中調べ回りました。それでも「これで治る」という答えは見つかりませんでした。
先に書いておきます。この記事の魚は、助かりませんでした。6日間の看病の記録です。
それでも書くのは、当時の私が一番読みたかったのが「うまくいった話」ではなく、同じ状況で誰かが実際に何をして、どうなったのかの記録だったからです。斜めに泳ぐ、立ち泳ぎになった魚を前にして検索している方に、うちで起きたことを全部残しておきます。
※私は獣医師でも専門家でもありません。これは一個人の飼育記録です。魚病の診断・治療については、信頼できるアクアリウムショップや専門家にもご相談ください。
金曜日、なんとなくおかしかった
最初に「おかしいな」と思ったのは金曜でした。3匹のカージナルテトラのうち1匹が、少し斜めに泳いでいる気がする。でも餌も食べるし、元気そうにも見える。様子を見よう、と思いました。
今振り返ると、ここが最初の分かれ道だったのかもしれません。ただ、当時の私に「この時点で異常だ」と判断できたかというと、正直できなかったと思います。魚は少し傾いて泳ぐことが普通にあるからです。
はっきり異常だと分かったのは、日曜でした。完全に頭を上にして、垂直に立っていました。泳ぎ疲れると沈みかけ、また必死に頭を上げる。それを繰り返していました。
原因かもしれない、と思い当たったこと

原因は、はっきりとは分かりません。ただ、調べ回るなかで思い当たったことが1つありました。
うちの水槽にはパンダコリドラスがいて、底に沈むタブレット状の餌を与えていました。ところがこの餌、沈む前にカージナルテトラたちが突進して、奪い合うように食べていたのです。よく食べるなあ、と微笑ましく見ていました。
調べていると、コリドラス用の餌は高タンパクで、上層の小型魚が食べすぎるとお腹が膨れるという話を見つけました。あれ、と思いました。立ち泳ぎになった個体は、お腹がぱんぱんに膨れていたのです。
誤解のないように書いておくと、餌そのものが悪いわけではありません。コリドラスのための、良い餌です。上層の魚が食べてしまう状況を放置していたのは、飼い主の私です。

やったこと:網での隔離、遮光、断食

調べた情報と相談しながら、やることを決めました。
| 隔離 | 別水槽は用意せず、網を水槽の縁に掛けて、その中で休ませる形にしました。水質も水温も本水槽のまま、他の魚からの干渉だけを防げます |
|---|---|
| 遮光 | 照明を消し、水槽を暗くして休ませました |
| 断食 | お腹の膨れを疑ったので、餌を完全に止めました |
| 触らない | 心配で何度も見てしまうのですが、手を出すのは最小限にしました |

薬浴や塩浴も考えましたが、原因がお腹の食べすぎなら、水を変えることが逆に負担になるかもしれない。「何もしないで休ませる」を選びました。この判断が正しかったのかは、今でも分かりません。

6日間の記録
気づいてから最期までの記録です。時系列でそのまま書きます。
| 金曜 | 少し斜めに泳いでいる気がする。様子見 |
|---|---|
| 日曜 | 完全な立ち泳ぎ。網で隔離、遮光と断食を開始 |
| 月曜 14時 | 網の中で休むことが増えた。泳ぐときは斜め上向き |
| 月曜 18時 | 網の底で休む時間がさらに増えた。たまに斜めで泳ぐ |
| 火曜 朝 | 横向きに倒れていた。網を軽く揺らすと、動いた |
| 火曜 19時 | 中層で静止している。姿勢は水平に見えた |
| 火曜 21時半 | また横向きになっていた |
| 火曜 深夜 | 呼吸だけが小さく動いている状態 |
| 水曜 5時30分 | 亡くなっていました |

見ていただくと分かる通り、一直線に悪くなっていくわけではありません。良くなったように見える時間と、悪くなる時間が交互に来ます。この揺れが、看病している側には一番こたえました。
火曜19時、「治った」と思った
ここが、この6日間で一番書き残しておきたいところです。
火曜の19時、網の中を覗くと、あの子は中層で、水平の姿勢で、静かに浮いていました。立ってもいない。倒れてもいない。普通の魚の姿勢でした。
治った、と思いました。断食が効いたんだ、お腹が軽くなったんだと。妻に「たぶん大丈夫そう」と報告までしました。
2時間半後、また横向きになっていました。
今になって思います。あの19時の姿は、回復ではなく、最後の力を振り絞って姿勢を保っていたのかもしれないと。確かめる方法はありません。ただ、もし今まさに看病中の方がこれを読んでいるなら、「良くなったように見える時間」に一喜一憂しすぎないでほしい。私はあの2時間半で希望の頂上から突き落とされて、それが一番つらかったからです。

水曜、5時30分
早朝、目が覚めて水槽を見に行くと、あの子は動かなくなっていました。
5日間、いや、気づいてからの6日間、私にできることは全部やったつもりです。それでも、足りませんでした。ボトルアクアリウムの頃から一緒だった、最初の3匹のうちの1匹でした。
その後、変えたこと
同じことを繰り返さないために、2つ変えました。
① 餌を変えた

カージナルテトラたちの餌を、小さな顆粒タイプ(テトラ プランクトン)に変えました。口のサイズに合った粒なら、一気に食べすぎることも、空気を飲み込むことも起きにくいと考えたからです。
パンダコリドラスには、昔使っていた細長いポンプ(スポイト)で同じ餌を底まで直接届ける方式にしました。これなら沈む途中でカージナルたちに奪われることがなく、コリドラスもこの餌をちゃんと食べてくれています。餌を1種類に統一して、届け方だけ変える。それでもネオンテトラやカージナルテトラは勢いよく食べに行きますが(笑)。
② 水質を測るようにした

それまで、水質を一度も測ったことがありませんでした。今回の原因が水質だったのかどうかすら、確かめる手段がなかったのです。「分からない」を1つでも減らすために、試験紙を買いました。
赤と青の花

あの子は、庭の鉢に埋葬しました。
そのままにはしたくなくて、ホームセンターの園芸コーナーで花を探しました。深く考えたわけではありません。目に留まったのは、青い花と、赤い花でした。カージナルテトラの、あの青いラインと赤いラインの色です。青いほうを手に取って、赤いほうを隣に置いて、レジに向かいました。
家に帰ってから、名前を調べました。
青い花はワスレナグサ。花言葉は「私を忘れないで」。
赤い花はクモマグサ。花言葉は「可憐な瞳」でした。
狙って選んだわけではありません。店先で、直感で選んだ2つが、これでした。
あの子が眠る鉢の上で、いまも赤と青の花が咲いています。水槽の中を、青と赤のラインが横切っていた頃と、同じ色です。
※このカージナルテトラと過ごしたボトルアクアリウム時代の記録は、ボトルアクアリウムはかわいそう?に書いています。運営者情報で飼育環境を公開しています。


