水槽一式を買ったとき、私は店長さんに前のめりで聞きました。「ろ材はどうしたらいいですか」と。返ってきた答えは、「これをろ過部に突っ込んじゃってください」。手渡されたのは、交換式の薄いマットでした。
私は心の中で「ハー?」となりました。活性炭は?綿は?そして何より、30年前に使っていた、あのガラスのリングのろ材はどこへ行った?心の中は『世界の中心で、愛をさけぶ』状態です。
この記事は、そんな30年前の記憶を頼りにセラミックろ材「シポラックス」にたどり着き、36cm一体型水槽で7ヶ月使った記録です。使い方、洗い方、そして気になる「脱窒」について、テトラの試験紙で水質を実測した数字つきで、正直に評価します。
結論:7ヶ月使った評価
水質純正マットとシポラックスの併用で7ヶ月。実測したところ亜硝酸塩0.0mg/l・硝酸塩9.2mg/lと、良好な数字でした
脱窒ただし「シポラックスが脱窒してくれたから」とは断定できません。換水も水草もある水槽では、何が効いたのか切り分けられないためです
寿命7ヶ月時点で割れも崩れもなし。洗って再利用しながら現役です。寿命を語るには早すぎるので、続報します
一体型水槽の純正ろ材は「交換式マット」だった
うちの水槽はGEXのAQUA-U WIDEという、ろ過部が本体と一体になったタイプです。店長さんにすすめられた純正ろ材は、GEX aquaristaの「Ga SLIM MAT BIO」。高性能活性炭+ゼオライト+バクテリアが入った交換式のマットで、汚れたら手を濡らさず交換できます。

先に言っておくと、このマット自体はよくできた商品だと思います。物理ろ過と活性炭の吸着をこれ1枚で担って、交換も簡単。初心者が水を維持するには、これで十分に回るはずです。
ただ、30年前に活性炭・ウールマット・ガラスリングを別々に積んでいた身としては、どうにも物足りない。「洗って使い続ける生物ろ過の主役」がいない気がしたのです。その日は言われたとおりマットだけで帰り、家で調べ始めました。あのガラスのリングは、何という商品だったのかと。
30年前の「ガラスの粒」を探して
中学時代の私の120cm水槽には、ガラスを焼き固めたようなリング状のろ材が入っていました。名前は思い出せないのに、「あれが生物ろ過の主役だ」という感覚だけが残っている。調べてみると、たどり着いたのが「sera シポラックス」でした。
さらに調べると、シポラックスはもともとドイツのSCHOTT(ショット)という、ガラスの名門メーカーが開発した焼結ガラス製のろ材で、後にセラ社が製造を引き継いだ商品のようです。海外の商標記録では1986年から使われている名前だそうで、時期的には、中学時代の私が使っていたのがSCHOTT時代のものだった可能性もあります。
断定はできません。ただ、「今売られているものより、もっとガラスっぽい見た目だった」という記憶だけは妙にはっきり残っています。30年越しに同じ名前の商品を買うことになるとは、思いませんでした。
ちなみにこの話、妻にもひととおり語りました。ドイツのガラスメーカーがどうとか、焼結ガラスの多孔質がどうとか。妻は静かに聞いてくれましたが、途中からあいづちが「へえ」の一種類だけになりました。水槽の話でこれだけ熱くなれるのは、たぶん我が家で私だけです。妻の関心は、あくまで泳いでいる魚のほうにあります。
シポラックスミニを購入。35gでは全然足りなかった
私が買ったのは「シポラックスミニ」です。通常のシポラックスより粒が小さいタイプで、うちのような小型水槽のろ過部には、こちらのほうが収まりがいいと判断しました。
そして、ここで失敗をひとつ。最初に買ったのは35g入り(780円)でした。届いた箱を開けて、絶句しました。小さすぎる。手のひらに乗る量で、ろ過部に入れても「いるの?」というレベル。4日後、130g入り(1,980円)を買い足しました。

これから買う方は、パッケージのグラム数をよく見てください。同じ「シポラックスミニ」でも内容量違いがあります。うちの36cm水槽で、35g+130gの計165gを使っています。
ちなみに私は楽天のcharmさんで買いました。近所の店頭ではなかなか見かけない商品のようで、「どこにも売っていない」と探している方もいるようですが、通販では普通に買えます。値段は購入時(2026年1月)のもので、変動するようなので購入前にご確認ください。
リングろ材の使い方:うちのろ過部の中身
ここで、買ってみて初めて分かったことがあります。130g入りには専用の網が付いていましたが、35g入りには付いていませんでした。粒をバラでろ過部に入れると、掃除のたびに拾い集める羽目になります。
そこでうちの35gは、キッチンの生ゴミ用のネットに入れて使っています。台所から拝借した、あの三角コーナー用の網です。見た目は自慢できたものではありませんが、ろ過部の中は誰にも見えませんし、ネットごと取り出せるので洗うのも戻すのも一瞬。実用上は何の問題もありません。
役割分担で言うと、マットは「使い捨ての掃除係」、リングろ材は「住み込みの浄化係」。この2段構えにしてから、ろ過部の中身に納得がいくようになりました。30年前の水槽でやっていたことを、令和の一体型水槽で再現した形です。
一体型水槽のろ過部に、どう入れているか。うちの使い方はこうです。

| 純正マット(Ga SLIM MAT BIO) | 指定の位置にそのまま。ゴミを受け止める物理ろ過と活性炭の吸着を担当。黒く汚れたら新品に交換します |
|---|---|
| シポラックスミニ 165g | ネットに入れて、ろ過部の空きスペースへ。バクテリアの住処(生物ろ過)を担当。交換せず、洗って使い続けます |
ポイントはネットに入れることです。粒をバラで入れると、掃除のたびに拾い集める羽目になります。ネットごと取り出せれば、洗うのも戻すのも一瞬です。
役割分担で言うと、マットは「使い捨ての掃除係」、リングろ材は「住み込みの浄化係」。この2段構えにしてから、ろ過部の中身に納得がいくようになりました。30年前の水槽でやっていたことを、令和の一体型水槽で再現した形です。
洗い方と再利用:さっと洗うだけ
※厳密にはシポラックスはセラミック製ではなく、焼結ガラス製のろ材です。メーカーの説明では「セラミックろ材と同等の生分解能力がある」とされています。
シポラックスは交換せず、洗って再利用する前提のろ材です。うちが実際に洗ったのは、7ヶ月で数回だけ。直近では、パンダコリドラスが水面ダッシュを連発した朝に、ろ過まわりを疑って洗いました。

洗い方は、ゴシゴシやらず、水の中でゆすってすすぐだけにしています。せっかく住み着いたバクテリアを洗い流してしまっては本末転倒ですし、調べてみると水道水の塩素はバクテリアに良くないとされているので、蛇口の水で直接ジャブジャブやるのも避けています。
粒の色は、新品の白から少し飴色がかってきました。汚れというより「使い込まれてきた」という見た目で、割れも崩れもありません。
脱窒は起きているのか?水質を実測してみた
シポラックスを調べると、必ず出てくるのが「脱窒」という言葉です。調べてみると、シポラックスの多孔質な内部には酸素の届きにくい場所ができ、そこに住むバクテリアが硝酸塩を窒素に分解してくれる(=脱窒)とされています。通常のろ過で溜まる一方の硝酸塩が減るなら、夢のような話です。
で、実際うちの水槽はどうなのか。測ってみました。使ったのはテトラの試験紙「テスト6in1」です。


結果はこうでした。測定したのは水換えから3日後の夜です。
| 硝酸塩(NO3) | 9.2mg/l。判定は一番良いゾーンでした |
|---|---|
| 亜硝酸塩(NO2) | 0.0mg/l。バクテリアがしっかり仕事をしている証拠です |
| pH | 7.0 |
| 総硬度(GH)/炭酸塩硬度(KH) | GH 0.0/KH 20.0。KHは高めに出ました |
| 塩素(Cl2) | 0.8mg/l。水換え3日後なのでカルキ抜きの残りではなく、誤差の範囲かなと見ています |
| CO2(算出値) | 74.4mg/l。KHとpHからの計算値で、KHが高いぶん大きく出ているようです |
亜硝酸塩ゼロ、硝酸塩も低い。正直、ほっとする数字でした。7ヶ月ノーメンテに近い生物ろ過が、ちゃんと回っています。
ただし、ここが大事なところです。この数字を「シポラックスの脱窒のおかげ」と断定することはできません。うちの水槽では週1〜2回の水換えをしていて、水草も硝酸塩を吸収します。換水と水草とろ材、どれがどれだけ効いているのか、1回の測定では切り分けられないのです。
また、調べてみると水質は測る時間帯でも変わるとされています。日中は水草が光合成で二酸化炭素を消費し、夜間は水草も呼吸します。今回の数値は「うちの水槽の、その日その時間の1回分」でしかありません。それでも、数字を出さずに「脱窒します!」と書くよりは、ずっと誠実だと思ってこのまま載せます。
セラミックろ材の寿命は?7ヶ月ではまだ分からない
調べてみると、セラミックろ材や焼結ガラスろ材は、割れたり目詰まりしたりしない限り長く使えるとされていて、「半永久的」という表現すら見かけます。
うちは、まだ7ヶ月です。割れなし、崩れなし、色は少し飴色。寿命を語るには早すぎるというのが正直なところです。1年、2年と使って、変化があればこの記事に追記します。30年前のガラスのリングが何年もったのか、覚えていないのが悔やまれます。
よくある質問
シポラックスで本当に脱窒しますか?
うちでは検証できませんでした。7ヶ月使った水槽の硝酸塩は9.2mg/lと低かったのですが、水換えと水草の効果と切り分けられないためです。「脱窒するとされている」以上のことは、うちの環境からは言えません。
洗うときはどうすればいいですか?再利用できますか?
洗って再利用する前提のろ材です。うちはネットに入れたまま、水の中でゆすってすすぐ程度にしています。バクテリアを落としすぎないためと、調べてみると水道水の塩素がバクテリアに良くないとされているためです。
リング状とボール状のろ材は何が違うのですか?
一般には、リング状は中央の穴が水の通り道になって目詰まりしにくく、ボール状は表面積を稼ぎやすいとされています。うちはリング状しか使っていないので、比較の実体験はありません。正直に書くと、私がリングを選んだ一番の理由は「30年前に使っていたのがリングだったから」です。
シポラックスミニと通常のシポラックスの違いは?
一般には、ミニは粒が小さいタイプとされています。ただ、うちは通常サイズを買っていないので、実物を並べて比べたことはありません。断定は避けておきます。なお、同じ「ミニ」でも35g・130gなど内容量違いがあり、こちらは単純に量の差です。うちは35gを買って全然足りず、4日後に130gを買い足しました。ちなみに130gには網が付属していましたが、35gには付いていなかったので、キッチンの生ゴミ用ネットに入れて使っています。
店で売っていないのですが、どこで買えますか?
私は楽天市場のcharmさんで買いました。店頭では見かける機会が少ないようですが、通販では普通に手に入ります。急ぎでなければ通販が確実だと思います。
評価まとめ:30年ごしでも、選んでよかった
| 良かったところ | 気になったところ |
|---|---|
| 7ヶ月で亜硝酸塩0.0・硝酸塩9.2の実測値。生物ろ過は確かに回っている | 脱窒の効果は、家庭の水槽では検証しようがない |
| 洗って使い続けられる。交換コストがかからない | 35g入りは小型水槽でも少なすぎた。グラム数に注意 |
| ネットに入れれば一体型のろ過部にも収まる | 店頭で見かけにくく、通販頼みになりがち |
純正マットは交換式なので、汚れたら新品に入れ替えます。ということは、そこに住み着いたバクテリアも一緒に捨てることになる。それが引っかかっていました。
洗って使い続けるろ材があれば、バクテリアはそこに残ります。交換しても水質が崩れにくい。要するに、バクテリアの住処を確保して水質を安定させたかった。それだけの理由です。30年前も、そのためにガラスのリングを入れていました。
粒は記憶より少しセラミックっぽくなっていましたが、ろ過部を開けるたびに飴色になっていく粒を眺めるのは、30年前と同じで、少し嬉しいものです。ろ材の楽しさは、変わっていませんでした。
※うちの水槽環境は運営者情報で公開しています。このシポラックスを洗うきっかけになった事件はパンダコリドラスの水面ダッシュの記録に書いています。


